4月佛教講話会のご報告

【講 師】 駒澤大学総長 池田 魯参先生

【演 題】『ブッダの人生観に学び楽しく生きよう』

人生100年、長寿社会と言われている現代、如何に老後の日々を充実したものにしていくかという命題に今、我々は直面している。

生きていく上で大事なことは、

  1. 健康
  2. 経済
  3. 社会との繋がり

ということである。

散歩や、運動を通して健康を心掛けること、貯蓄や年金で贅沢はしないまでも日々の生活に憂いのないこと、社会の中で孤立せず、人と繋がって生活していくこと。

それらは「老い」を迎えた者にとって重要な生きるポイントになる。

そして更に大事なことは、孤独を楽しむ覚悟を持つことだ。

孤独を楽しむということは孤立して生きるいうことではなく、例えば趣味で言えば、俳句や短歌をたしなみ、読書や日記をつけるというように「独り」を楽しむ時間を持つことである。

独りでいることによって己を見、己と向き合うことが出来る。

自分のこころのなかに深く踏み込んでいく時間を持つことが人生を豊かにする。

佛教を開かれたお釈迦さまは、80歳で亡くなられた。

現代の僧堂でも修行僧は、接心といった修行期間には、日に4回坐禅の時間を持つ。

何もしないで坐り、己を見つめ修行する。

お釈迦さまも一生を通じ、坐禅をされて「人生は四苦八苦である」ということを悟られた。

この世は苦に満ちており、己の欲望は尽きることはない。

しかし逆に欲望があるからこそ、生きて行くことが出来、食欲があるからこそ、生き延びて行くことが出来ている訳である。

苦海の中で生き、求めても得られないことを知り、同時に自分というものを支えてくれている多くの存在に気付かされていく。

生かされている自分に気付いていくことが佛教の恵みなのである。

不浄の中に浄を見、不浄と浄のバランスを見つめ現実を捉えることが「諦観(たいかん)」に繋がっていく。

思うようにならないけれども、思うようにならないことを楽しむ。

苦の中の楽、無の中の我を見つめていくことが「孤独を楽しむ覚悟」に通じ、人生を穏やかに過ごしていく力となっていく。

常に現実を見据えていると、平常心が保たれ、生き甲斐がそこに出て来る。主体性、努力を怠らない私たちのあるべき日常生活の姿が、そこに立ち上がって来る。