「 日本人のこころ 」

 この冬は、冬季オリンピックで盛り上がった方も多かったのではないでしょうか。
たくさんの快挙もありました。
あまり知らなかったスポーの面白さ、身体を動かすだけではない頭を使ってレースの主導
権を握る楽しさを発見したりと、私も連日楽しませてもらいました。
ただ、何時の大会に於いても感じることなのですが、マスコミが煽り、世の中の風潮がメダ
ル獲得数ばかりを言い過ぎると思うのです。
確かに競技ですから、各種目とも戦いであり、勝ち負けが発生するわけで、それに対して
の報奨が与えられるのは当然なのかもしれません。
「オリンピックは、参加することに意義がある」と教えられた私達ですが、ある時「オリンピッ
クは戦いである。スポーツといえども勝負事。戦いには、勝たねば意味がない」という発言
を聞いたときは、「成程」と思い、そういう考え方もあるのだなと思ったことでしたが、やはり
「それだけではないよな」という疑問がいつも頭をもたげて来るのです。

 「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦うことを・・・」と誓って行う戦いであり、自
分を磨いて高めてきた技を相手にぶつけて競い合い、その結果を互いに称え、認め合い
ながら更に自分の力を磨いていこうとする姿に我々は心を打たれるのです。
メダル云々ではなく勝負の時に至る過程において、どれだけの努力を重ね、苦労をしてき
たかということに裏付けされた結果であれば、それはそれで良いのではないでしょうか。
金であろうと、銀であろうと、メダルに手が届かなかったにせよ、褒めて然るべきでしょう。
とにかく、どの選手にしても懸命にやっているわけで、その取り組む姿には、しっかりと拍
手で讃えてあげたいものです。

 もう一点、今回のオリンピックで印象的なシーンがありました。
それは、女子のスピードスケート小平奈緒選手が500メートルで優勝を決め、オリンピック
レコードを出した瞬間、観客は大いに喜び、歓声と拍手を贈りましたが、小平選手は笑顔
でそれに応えながら、次に「静かにしましょう」と口に指を当てて歓声を制しました。次の組
のレースが残っており、その組の選手がレースに集中して力を発揮できる環境を整えて
やって欲しいとの思いだったようです。この心配りに感動しなかった者はいなかったと思い
ますし、見習わなければならないことだと思います。
更にそのレースが終わり、一位が確定した後、小平選手に負け、肩を落として悔し涙を流
している韓国の選手の傍らに寄り添い、肩を抱いて励ましている姿は感動的でした。スポ
ーツに国境はないと言われるその言葉を地でいった姿でした。こうした姿は、随所にあった
とは思いましたが、報道でもっとしっかり取り上げ、人としての有り様を伝えてほしいと思い
ます。

 メダルの数もさることながら、世界の人々が集い、スポーツを競いながら、その中で生ま
れてくる人としてのあるべき姿、心洗われるようなエピソードを披露していくことは報道しか
出来ないことです。
それこそが国や文化、宗教を越えて、お互いを尊重し、相手の人間性を理解し合おうとい
うスポーツの祭典としてオリンピックの真の目的ではないのでしょうか。
そして私達も表面的なものだけでなく、各選手の見えない努力、苦悩、喜びを感じ取れる
深い眼差しを育てていかなければならないと思います。
次の大会の時、勝った者も、残念ながら負けてしまった者も空港の出迎えゲートから同じ
ように労いの言葉のアーチをくぐり、祝福を受けて帰って来られるような日本になっていて
ほしいと願っています。
                                                 合掌

 
 
 
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