10月佛教講話会報告
【講 師】 群馬県常仙寺住職・育英女子大学教授 佐藤 達全先生
【演 題】 生きにくい時代を生きるために必要なお釈迦さまの教え ・・・「中道」の意味するところについて・・・
佛教は何事も移り変わっていくものだと説いています。
これを諸行無常の教えといいますが、いわゆる「はかない」という意味ではなく「常に変化し続ける」という意味なのです。
そして、更にお釈迦さまは、身体と心の状態は重要な繋がりがあり、私たちの〈いのち〉は「身体の活動と心の活動」が調和すること、「緊張と弛緩(リラックス)」が調和することが重要だという意味で「中道」という原則を示しして下さいました。
中道は〈いのち〉のリズムを説く、正に佛教とは〈いのち〉の教えなのです。
お釈迦さまが説かれた真理は、お釈迦さまが独自に生み出されたものではなく、本来あったものをお釈迦さまが発見され気付かれたということなのです。
真理は初めから存在し、私たちに語り続けていたという訳です。
お釈迦さまが示された〈いのち〉の真理とは、既にお話しした「諸行無常」。
この世に存在するあらゆるものは常に変化し続け、良いことも悪いことも常に変化していく。
その表面的な変化に動揺し、慢心したり落ち込んだり、心が揺らぐことがないように心掛けることが大事です。
二つめは「諸行無我」。
地球上に存在するあらゆるものは、互いに関わりあって存在しているという「縁」の教えです。
この世は「縁起」で成り立っているという世界観や人生観を持つことは、とても大事なことです。
そして「おかげさま」「ありがとう」という感謝の心を忘れないこと。
物事は自分の思い通りにはいかない現実を直視し、その事実を受け入れるように心掛け、周囲に優しさや幸せを振り撒きながら、親切はやりっぱなしという精神も忘れないことが大事です。
三つめは「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」
幸せは自分の足元にあるのです。
どこかにあるのではなく、常に今、在る所に幸せがあるのですから、生きている「今」を大事に生き切ることです。
人生100年の時代。
「余生」ではなく「与生」として生きていく為には、自分だけが幸せになるのではなく、みんなが幸せになるように、佛教精神を生かしながら日々を送ることが大事です。
佛教の教えを生かしながら「何かを得る為に行う」という気持ちを捨て、「努力するけれど、無理しない」をモットーに過ごしていきたいものです。