11月神応院佛教講話会ご報告

 

【講師】横浜 建功寺住職・庭園デザイナー・多摩美術大学名誉教授 枡野俊明老師
【演題】「共生(ともいき)」

現在、異常な気候変動で様々な問題が起きている。

しかし変化が徐々に進んでいたために人々は暢気に構えて気が付かないでいたが、ここにきて自然界の姿は大きく変わって来ている。

「まだ大丈夫」という安易な態度が問題を先送りし、大変な事態を招くことになる。

「茹で蛙」という言葉がある。

変温動物である蛙は、徐々に上がる水温に体温を合わせていく内に、気が付くと蛙自身が茹で上がってしまうという、正に今の我々の姿と同じ状況を物語る言葉だ。

こうした問題を引き起こした原因は、経済優先の考え方が世界に蔓延したからである。

経済を一番と考え、豊かさを経済に求めた為、自然の中の動植物をなおざりにし、自然と人間の対立関係を作ってしまった。

佛教には「中道(ちゅうどう)という教えがある。

対立ではなく、お互いの違っている点を認め合い、尊重する。

1か0かという世界がコンピューター、ITの世界。

黒か白かではなく、黒白、それぞれの良さを認め合い、取り入れていくこと、それが佛教で言う「中道」の世界。

「共生(ともいき)」

周りと共に生きていく四摂法(ししょうぼう)の佛教の考え。

狩猟民族である西洋は狩りの獲物を巡って争いが起きる。しかし、農耕民族は種を蒔いて育てるという考えがあるから、人は争うことなく共に生きていくことが出来る。

しかし人は、欲を持つ。

総てのものは関係性の元に成り立っている。

欲も調整し、お互いが成り立つようにしていく。

その為には、お互いを認め合うということが基本になる。

それが、大宇宙の真理を表す「佛性(ぶっしょう)」という佛教の教えに繋がっていく。

規則正しく生活を送ることによって、この大宇宙の真理の中で自分が「生かされている」ということに気付くことが大事。

気付けば頂いているこの自分の命を次に、周りの人々、環境に返していくことを意識するようになる。

それが「共生」の生き方であり、その根本に「生かされている」というこの佛性の教えが流れている。

佛性に気付けば、人間だけでなく、周囲のあらゆる物事を大事にし、共生していこうという思いが出てくる。

個々の対立という形でなく、お互いが認め合い、生かし合って、繋がっていく佛教の共生きの教えが今世界各地で続く、紛争、飢餓、異常気象等の問題を解決していく糸口になっていく。

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