4月に入り、急に気温が上がって夏を感じさせるような日がありましたが、月末になると今度は雨の日が続き、やはり穀雨と呼ばれる雨の季節になったのだと思いました。
雨は、豪雨で災いをもたらす反面、慈雨のように自然を育み、大地を守り、恵みを与えてくれるものでもあります。
何事も、良い面と悪い面とがあり、自然も穏やかなときは私達を和ませ、助けてくれるものですが、一旦、荒れ狂ってしまうと手が付けられなくなり私達の暮らしにも大きな傷跡を残していきます。
喜びと悲しみの両面あるというのが物事の定めのような気がします。
今、盛んにニュースで取り沙汰されているAIの問題も、その研究が進み、私達の生活に豊かさをもたらしてくれるであろう反面、多くの不安材料を抱えていることが言われています。
今後、科学が進歩すれば進歩するほど便利なものが沢山開発されていき、私達は、その恩恵を受けながら、同時に影の影響も抱えていかなければなりません。
4月、お寺に小さな図書室をオープンさせました。
3月末、その「うてな文庫」というミニ図書室のオープンに先駆けて小林いづみ先生のブックトークを行いました。
本は読むもの。
小さな内は大人が読んでやったとしても、字が読めるようになれば、自分で読んでいくものだと考えていましたが、講座の中で、その点にも触れてお話し下さいました。自分で読むだけでなく、音声で受け取ることで想像の域が広がっていくこと。
しかも、YouTubeやスマホ、AIが、どんなに発達していこうが人が生の声で伝えることで脳に与える影響には遥か及ばないという実験結果もあるということでした。
母親や父親、見守ってくれる人の声で語られる物語は、子どもたちに安心感を与え、集中して聞くことにより、想像しながらイメージを大きく広げ、理解を深めていくのです。
自分で字を追って読んでいくのとは別に、子供にとって「聞く」という行為は、とても大きく影響していくのだということが新鮮な驚きでした。
しばらく前から盛んに各地で朗読の会が開かれています。
言葉に思いを乗せる。
子供だけでなく、大人も声によって届けられる物語が心を安らげ、想像の世界を広げていくひとつの切っ掛けになるのだと思います。
それは人が人に何かを伝えていこうとするときに忘れてはいけない一番大事なことが、そこにあるからではないでしょうか。