楽しみにしていたお菓子を「ああ、至福のひととき~」と、
ゆっくり味わって食べようと口にした途端、電話が鳴った。
噛んでいる間もなく、ゴクリと飲み込む。
急いで受話器を取る。
「すみません、間違えました」
などと軽く言われて、ガチャリと電話を切られたりすると頭にくる。
ああ、私の最後の一口をどうしてくれよう。
記憶すら残らなかったではないかと嘆く。
でも、だいたいこんなものだ。
さあ、張り切って今日の仕事に取り掛かろうと思った途端、来客があったり、
宅急便が届いたり。
結局、途中切れになった事の続きが思い出せなくなって、
「何をやっていたんだっけ?」と考える羽目になる。
でも、それはそれで楽しい。
計画通りに毎日が過ごせるわけでもなく、いろんなことが飛び込みで挟まって来る。
思いも掛けない出来事が、ひょこりひょこりとやって来る。
気がつくとその日の計画とは全く違ったことが急に気になり始め、
やりだすことだってある。
脇道の事柄にいつしか夢中になって、初めの計画などすっかり頭から消えている。
要するに集中力がないからだとは思うが、いろんなハプニングの中で変化していくことも面白い。
計画通りには進めなければならないこともあるけれども、計画通りにいかなくても、
それを面白がる余裕を持ちたい。
最短距離を最速で行く人生の爽快感も一興。
のんびりてくてく歩きながら、いろんなことに出逢い、時に座り込んで深呼吸をしながら周囲の景色を眺めて見ることも良いではないか。
もしかしたら今まで見過ごしていたものを「発見」するかもしれない。
急ぎと、ゆっくりが上手く混ぜ合わさった生き方が出来ていければいいなあと思う。
人生を愉しむ。
そのリズムを身に付けた時、そんな心境になるのだろうか。