世の中、野球ファンは一年中、野球を楽しめるようになっているとつくづく思う。
シーズン中は勿論のこと、長いシーズンが終わって秋になり、ゲームが行われなくなっても野球関係の番組「球辞苑」や、名場面やエラーシーンを特集した番組など、結局一年中切れ間なく野球ファンが楽しめるようにテレビ番組は構成されている。
アンチ野球ファンにとって一年の大半を野球ファンにチャンネル権を奪われ、10月シーズンが終わり、やっと安泰で寛いで居間で好きな番組が観られると思っていたら、先に言った通り野球関係の番組は途切れることがなく、今日は名試合の特集なのだという。
「いやー、この試合負けるかと思ってたんだよねえ。それが2打席連続ホーマーで逆転勝ちだった」
「エラーで試合の風向きが変わったんだよねえ。」
「結局、○対○でカープの勝ちだった」
彼等は恐るべき記憶力で、事細かにその時の試合の流れを憶えている。
そんなに詳細に憶えていて、次の展開まで分かっているものを何故観たいと思うのか。
試合の展開が分からないからこそ、ワクワクドキドキするものではないのかと思うのだが、
どうもそうではないらしい。
要するに、シーズンが終わっても彼等の野球魂は燃え続けているのだ。
そんな訳で絶滅危惧種のドラマ派は、結局押し出しで別部屋にて孤独に他番組を観るしか方法がない。
ただ他の番組を一人で観るだけならば別段なんてことはないのだけれど、ビデオで録り貯めた番組をこの際だから観たいと思っても、居間のテレビでないと観られない。
いきおい録画ビデオの備蓄は貯まる一方になる。
「こんなにビデオ録っていつ観るのよ」
とお叱りを受けるけれども、観たいのはやまやまなれど観られない事情があるのだと多勢に無勢一人ブツブツと文句を言ってみる。
仕方がない、何か他の番組でも観るかとチャンネルを回す。
丁度コロナウィルス流行の時で、各局人気番組の再放送のオンパレードだった。
日曜日のその日は、ラグビーワールドカップ前に放送されたドラマを再放送していた。
ラグビーなんて全く知らなかったけれど、毎回のドラマにハラハラしたことを憶えている。
相手チームの汚い手口で引き抜きに合うんだったなー
金に物を言わせるやり口に主人公と同じように腹が立って、悔しくて、でも最後の決着は感動したなあ。
ドラマを観た時のハラハラした気持ちがよみがえり、主題曲に心が鼓舞される。
そして分かっちゃいるけれども同じシーンで涙がでる。
終いには、「名作は、何度観てもいい」
と感動している。
あら、この心理、どこかの人たちと同じような・・・。
もしかして他人事って、自分事と合わせ鏡かもしれない。