涅槃会に因んで

毎年、新年の一月を迎えると春までの日々があっという間に過ぎてしまいます。二月のカレンダーをめくれば、月半ばからは春彼岸の準備に取りかかります。その頃からは、寒の季節から春の季節へと移り変わっていく気配が感じられ、忙しいけれど、こころ楽しい季節となります。
さて二月には涅槃会(ねはんえ)という行事を行いました。
お釈迦さまが亡くなられた二月十五日の行事ですが、毎年十五日に近い日曜日に行っています。
お釈迦さまに因む行事は他にもあって、二月の涅槃会、四月の降誕会(こうたんえ)、十二月の成道会(じょうどうえ)の三つを三佛忌(さんぶっき)といい、お寺にとって、佛教徒にとって大事にしな
ければならない日です。
お釈迦さまは亡くなられるときに大事なことばを遺されました。
それが『遺教経(ゆいきょうぎょう)』というお経になっています。
その大事な教えとは、例えば、

●佛が示された戒をしっかりと守り、実践していくこと。

お釈迦さまが教え示された戒を忘れず、しっかり守り実践していけば、自分のこころが安定し浄まっていく。自分のこころが浄まれば、その波紋は周囲に広がり、自ずと穏やかな世界へと変わっていくのです。
もうひとつよく耳にすることばがあります。

●「小欲知足(しょうよくちそく)」

耳慣れたことばなのに、なかなか実践できない教えでもあります。
世の中の争い事、その根本が総て、この「欲」が働いています。
反面、欲がなければ人は生きていくことは出来ません。
食欲がなければ命を繋ぐことは出来ないし、願望がなければ自分を高めていくことも出来ません。
欲は、諸刃の剣なのです。
自分の中にある欲をいかにコントロールするか。
お釈迦さまが遺された「戒」は示しています。
四月八日は、降誕会。
お釈迦さまが誕生された日です。
神應院では今年は五月七日(日)に行います。お釈迦さまに因んだ行事に参加しながら、少しずつ教えに近づいていくように心掛けていきたいものです。

合掌
神応院住職 西村 英昭