利己主義にならないためには

アメリカの大統領の「アメリカファースト」という発言以来、いろいろな所で「○○ファースト」という発言がよく出てくるようになりました。
でも、この言葉、どうなのでしょうか。
本当にそれで良いのでしょうか。
この論理でいくと世の中バラバラになってしまうと私には思えてならないのです。

皆さまは、どうお考えでしょうか。
アメリカは個人主義の世界ですから「自分が一番」が通るかもしれません。

でも「個人主義」とは、そういうものなのでしょうか。
私は、そこから疑問を感じるのです。
確かに、お釈迦さまは「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とお示しになりました。

一見「自分が一番」という意味だと思われがちですが、本当の意味はそんな単純なものではないのです。
お釈迦さまは「世の中に存在する総てのもの、命は唯一絶対の存在であり、誰も否定出来ない尊重すべき存在なのだ」 と教えられました。
私は個人主義というものも本来、このお釈迦さまのお示しになられたように個々の存在を尊重し、その上で皆が手を取り合って生きていこうという考えだと受け止めています。
だからお互いに意見を述べ合い、互いの意見を受け止めながら,その上で皆の為にどのような方向が良いのか、どの意見がより多くの人の為になるのかを合議する。

しかし、万人がひとり残らず納得し満足できるということはほぼ有り得ないので、互いに譲り合っていかねばなりません。

それぞれが「我」を張ることなく、己の欲を離れた中で行動をしていく、この姿が本来の個人主義だと思うのです。
佛教には、「自未得度先渡他(じみとくどせんどた)の心を発(おこ)」という教えがあります。

佛道を歩む者は、それぞれが釈尊に一歩でも近づく努力精進をする中で、未熟ながら他の人を悟りの世界である彼岸に渡す手助けし、その人が彼岸に到着出来たことを心から喜べる心が持てる人、他人の幸せを心から祝福出来る人間になることが非常に大事なのだと説いています。

お互いを慈しみ、尊重する生き方こそ、真の個人主義であり、平和の礎を造っていく基本なのだと思います。
心して生きていこうではありませんか。

                         合掌

神応院住職
西村 英昭